比較文明文化研究センター インフォメーション

【周年記念行事開催報告】「人類と母なる大地―いま、トインビーが世界に発信するもの―」

麗澤大学開学50周年を記念して、「人類と母なる大地のゆくえ―いま、トインビーが世界に発信するもの―」をテーマに比較文明文化研究センター主催のシンポジウムが、廣池千九郎記念講堂において11月14日に開催され、他大学関係者・一般を含め約120名が参加しました。

はじめに、廣池幹堂理事長、中山理学長、伊東俊太郎名誉教授から、挨拶がありました。
廣池理事長は、「本学の創立者は比較文明の開拓者である」と十数年前に伊東先生を本学にお迎えした際に伊東先生がおっしゃった言葉が思い出される。この会の開催を一番喜んでいるのは創立者であろう。本学の創立者の建学の理念である『モラル・サイエンス(モラロジー)』が世界の諸聖人の比較研究ということからトインビー博士に通じるのではないかと語り、歓迎の意を表しました。また、日本に初めてトインビーを紹介した若泉敬氏との交流にふれ、キャンパス内に設置した若泉氏のメモリアルルームを紹介しました。

中山学長は、周年記念行事の統一テーマの「知のモラルの再構築-地球と人類の平和をめざして」について触れ、周年記念行事の開催趣旨を述べ、「本学の誇りとする学問的成果を、志を同じくする他大学の先生方と協力して社会に発信できますことは本学にとり誠に意義深い」と挨拶しました。

初代比較文明文化研究センター長の伊東俊太郎名誉教授からは、文明とはヨーロッパだけではない、様々な文明が世界にはある。トインビーはその様々な文明を公平に見て、その関係を深めていこうとした、まさに比較文明文化研究の基礎を作った人である。また、彼は単なる歴史の記述ではなく、歴史の中に意味を求めた。それが、人類の発展にどんな意味をもつのか、あるべき人類の姿をその歴史の過程において位置づけ、そしてよりよい地球に向かって歴史をつくっていこうという志があった人であった。我々を勇気づけ希望をもたせ、さらなる前進を鼓舞する人であったとトインビーの紹介をされました。

第Ⅰ部はシンポジウム。吉澤五郎氏は「21世紀の文明史像とトインビー」というテーマで「トインビーの知的肖像」、「日本との対話」、「現代文明の位相と難問」、「トインビーと21世紀のメッセージ」という観点から話しました。川窪名誉教授は「トインビーの高度宗教と廣池千九郎の最高道徳」をテーマに、まさに本学の建学の精神とトインビーを関連付けて自身の研究事例を報告。また、服部英二氏は「文化の多様性宣言とトインビー」と題し、ユネスコ事務局長官房特別参与としての立場を踏まえ、ユネスコとの関連からトインビーの思想について語られました。
第Ⅱ部の基調講演では、早稲田大学名誉教授の西川潤氏から「21世紀と平和への道-グローバル化時代の人間責任」と題して、トインビーと21世紀社会を関連づけて講演をいただきました。平和を脅かす3大挑戦、いかに時代的挑戦に人間は答えていくかについて熱く語られました。3時間半にわたるシンポジウムは盛況のうちに終了しました。
終了後、希望者は若泉敬氏のメモリアルルームを見学。書籍や資料に触れ、感慨を深めました。その後記念パーティが行われました。

理事長挨拶
理事長挨拶
中山学長から
中山学長から
伊東名誉教授
伊東名誉教授
基調講演 西川氏
基調講演 西川氏
会場の様子
会場の様子
聴き入る参加者
聴き入る参加者
吉澤氏
吉澤氏
川窪名誉教授
川窪名誉教授
服部氏
服部氏
コメンテーターの福井大学小林道憲氏
コメンテーターの福井大学小林道憲氏