共創空間研究センター インフォメーション

【開催報告】共創空間研究センター 2月研究会を開催

 2025年夏、麗澤大学共創空間研究センターは、分野や世代・国境を超えて人々が集い、共に学び、共に創造する「共創」の実践を通して、新たな知の可能性を切り開くことを目的に設立されました。学内外の多様な人々が交わる中で、互いの考えを尊重し合いながら成長していくことを目指しています。

 2026年2月20日(金)、共創空間研究センター 2月研究会を開催しました。学内外から14名が参加し、先月実施した「対話型AI利用」の知見を元に深堀しチームごとに"問題"(共創空間上の"ギャップ")を選び、原因を明らかにし解決策を提案するアクションプラン作りを実施しました。

 冒頭では、今月の2月9日~17日(JICA、経産省、AOTSとの共催)にJICAアフリカ留学生を対象とした共創空間の取り組みを共有しました。アフリカからの留学生27名を対象に、日本企業との「架け橋」人材となることを目的とした共創空間を実施した際の動画を視聴しました。研修の最終日には、参加者自身が共創空間による学びを歌とダンスで表現し、言語や文化の違いを越えて大きな一体感が生まれた様子が映し出されました。共創が生み出すエネルギーと可能性を改めて実感する時間となりました。

 続いて、対話型AIの利用について4つのグループに分かれ意見交換を行いました。本テーマは先月も取り上げており、縦軸を「人類の成長に本当に役立つ?」、横軸を「自分自身の成長に役立つ?」とする共創マトリックスを作成し、参加者がマグネットで自身の考えを示しました。今回は、先月欠席された方にも同様のワーク(共創空間で自分の意見をマグネットで示す)を実施し、その結果をもとに議論を行いました。参加者からは、「結論は自分で探して手に入れたい。どのように答えに辿り着くかが学びになる」「AIはイリュージョンであり、リアルではない」といった慎重な意見が挙がる一方で、「答えをそのまま信じるのではなく、考える材料の一つとして使えるのではないか」という活用の可能性も示されました。また、「AIによる論文には独自性や自分の考えは生まれないのではないか」「AIで時間短縮ができたとき、人間は何をするのか」「多くの情報を得ても判別力がなければ意味がないのではないか」といった問いも共有されました。AIが本当に自分の研究で導きたいことを示してくれるのかという根本的な疑問も提示され、最終的な判断や責任は人間にあるべきだという認識が改めて確認されました。

 その後、提起された参加者の意見を元に共創マトリックス表(二次元の共創空間)を4分割しA(AIは救世主・共生)・B(自己成長・人類滅亡)・C(AIは文明の利器・自己後退)・D(AIによる乗っ取り)とネーミング(仮説)し、どのギャップ(問題)を重視するかという問いに対して、チームごとに共創ワークを実施しました。重視するギャップ(問題)は、AとB、BとC、縦軸、横軸など8つの選択肢から選び、各チームで議論した後全体で共有しました。A(AIは救世主・共生)とB(自己成長・人類滅亡)のギャップを選んだZOOMからの参加者からは、「AIの合理的判断の源は何か」という問いが出て、判断基準は誰がどのような目的で設計しているのかという点が議論の中心となりました。自分の論文をAIに説明させても自分の意図と異なる答えが返ってくる場合があることから、AIの判断基準の透明性や背景にある価値観が大きなギャップとして浮かび上がりました。また、C(AIは文明の利器・自己後退)とD(AIによる乗っ取り)のギャップを重視したチーム1からは、人間の欲や「楽をしたい」という傾向が、文明の利器への過度な依存を生み、本来の技能を退化させてしまうのではないかという指摘もありました。その解決策として、inner intelligence(内なる知性)を養う教育的・社会的システムの必要性や、暴力ではなく非暴力の話し合いの場を広げていくことの重要性が提案されました。共創空間そのものが、そうした対話の実践の場になり得るとの意見も出されました。

 さらに、B(自己成長・人類滅亡)とC(AIは文明の利器・自己後退)のギャップを重視したチーム2からは「AIの正解」と「自分の最適解」の間にあるギャップに関する問題が提示されました。例えば介護の現場では、対人では抵抗を感じることでもロボットであれば受け入れやすい場合があることが紹介されました。技術の進歩を拒むのではなく、成長すべき要因を受け入れ、AIと共存しながら共に成長していく姿勢が重要であるとの認識が共有されました。同時に、どれほど技術が発展しても最終チェックは人間が担うべきであるという意見も強く示されました。

 横軸線上(自分自身への成長と自己後退)のギャップを重視したチーム3からは、日常業務の効率化という観点では、AIに頼ることでスキルアップが阻害される可能性がギャップとして挙げられました。その解決策として、意識的に学ぶ時間を確保し、自らの能力向上を図る必要性が確認されました。また、人間中心でAIを使用すべきという立場と、自律型AIの進化により人間が制御できなくなるのではないかという懸念との間にもギャップが存在することが示されました。その対応策として、AIリテラシーを身につけ、使いこなす力を養う努力を続けること、そして共創空間を活用して対話を重ねることの重要性が共有されました。

 最後に、A(AIは救世主・共生)とD(AIによる乗っ取り)を重視したチーム4からは、「人間中心でAIを活用すべきである」という立場と、「自律型AIの進化によって人間が制御できなくなるのではないか」という懸念との間にあるギャップが提示されました。AIが高度化することで、判断や意思決定の主導権が人間から離れてしまう可能性が課題として挙げられました。その解決策として、AIリテラシーを身につけ、AIを主体的に使いこなす力・スキルを養うことの重要性が共有されました。また、対話を通して相互理解を深める共創空間の活用が、その実践の場となり得るとの意見も示されました。

  • 参加者の意見を元に作成された共創マトリックス表(二次元の共創空間)

  • 各チームで重視したギャップ(問題)、原因、解決策

 次回は、3月19日(金)13:30より実施いたします。本研究内容を研修プログラムとして体系化する方法や、4月以降のセンターの運営方針・3か年計画提出に向けた具体的な検討を進める予定です。是非、ご参加ください。