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コラム
2022.06.20

学生相談室コラム Vol.39 - 推薦図書『まっすぐだけが生き方じゃない:木に学ぶ60の知恵』

『まっすぐだけが生き方じゃない:木に学ぶ60の知恵』(原題:HOW TO BE MORE TREE)

アニー・デービッドソン 絵 & リズ・マーヴィン 文;栗田佳代 訳 / 文響社

 昨今、考え癖を改善するヒント本や人生訓のような本って、たくさん出版されていますね。近年は、ワンちゃんやネコちゃんで癒されるようにテーマづけられた書籍も多いですが、今回ご紹介するのは、珍しい "木" を題材にした本です。

 世界14か国で翻訳され、日本訳が今年の4月に出版されました。森づくり研究をされている山形大学農学部准教授の吉村謙一さんが監修されています。

 外国人イラストレーターらしいタッチの絵といかにも英文和訳ですといったセンテンスで、60種類の木を紹介しています。なかには、日本に馴染みのない木もありますが、「そういう木があるんだね」フムフム、と、思えます。一例をご紹介しましょう。本から抜粋します。

【ポプラ;助けられたり、助けたり】幹をまっすぐ伸ばして誇らしげに立ち並ぶ、ポプラの木々。一見したところ、一本一本が独立した木のように見えます。が、土の下を覗いてみれば、まるでひとつの生命体。根でゆるやかにつながって、ひとつのグループをかたちづくっています。条件の良い場所に立つ木が水や大切な栄養素を取り込めば、仲間の木々も、その分け前にあずかることができるというわけです。

 ちなみに、ポプラは、種子のみならず根から生える根萌芽によっても増える大変生命力のある樹木です。日本では、北海道大学のポプラ並木が有名ですが、背の高いポプラが続くさまは、見ていてノスタルジックな気持ちを抱かせます。印象派を代表する画家クロード・モネの作品に「陽を浴びるポプラ並木」というのがありますので、ヨーロッパでは馴染みのある木かもしれません。

 この本の序章には「樹木は、およそ4億年前から地球上に存在しています。環境に適応すること、生き延びることの達人です。」と、あります。ページをパラパラとめくりながら、緑多い麗澤で、「この木は・・・」などと思いめぐらしながら、キャンパス内の木陰で、ゆっくりくつろぐ時間を過ごしてみてはどうでしょうか。

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こんな表紙の本です


image_67145985 (2).JPG イラストも素敵です

学生相談室受付 寺本敬子