お知らせ
【開催報告】「グロスタハック! ヒロシマ・ナガサキと核の世紀」学生の学生による学生のための特別授業を実施!
外国語学部の1年次科目「グローバルスタディーズ入門 B」(担当:花田太平准教授)で学び、近現代史に関心をもった14名の学生が、一コマの授業をまるまる「ハッキング」! 彼らが多角的なフィールドワーク(2.5次元シアター、体験型ワークショップ、演劇、お笑い)を通じて、"若者がリアルと感じる手法"を研究し、それを平和学習の授業で実際に応用してみるという実験的な授業を実施しました。
以下、学生による特別授業「グロスタ・ハック」のレポートをご紹介いたします。
2025年1月8日(水)、外国語学部の1年次科目「グローバルスタディーズ入門 B」において、自主企画ゼミナール※「21世紀型教育方法の探究」(担当教員:外国語学部 花田太平准教授)のメインプロジェクトである特別授業を実施しました。私たちがこれまでに行ってきた平和学習を受講生に追体験をしてもらうことを目的に、広島や長崎へのフィールドワークをもとに作成したオリジナル動画や演劇を交えた、唯一無二の授業となりました。
今日まで私たちは、広島や長崎を訪れ、被爆体験者の方の講話を聞き、現地の高校生や大学生と対話を通した交流を行ってきました。そのような活動を通して、「若者が今できることは何なのか」と問いかけ、戦争の記憶を「自分事化」することの難しさと向き合ってきました。それらの自問自答を具現化したのが、「学内での授業」という形での「伝承」でした。戦争という重たいトピックでも若者がリアルと感じられるように、一方的な知識の提供である「講義」にならないよう、2.5次元シアターの手法を取り入れて、限りなく「体験」に近くなるような独創的な「授業」を行いました。
※自主企画ゼミナールとは、学生が学びたいテーマを見つけ、 学生が自ら指導を受ける教員を選び、 何をどのように学習していくかについて、 該当教員の助言を受けながら決定し、 学習計画を立てその計画に従って進めていくゼミナール制度です。
2.5次元シアター風にフィールドワークを実演する学生たち
参加学生たちの感想
私たちが今回の授業を行った上で強く感じたことは、伝承者の気持ちをくみ取り、自主ゼミでの活動を振り返るこのグロスタハックは、ほかの誰かのためでなく、まさに自分たち自身のためであったということです。授業を提供する立場なのにもかかわらず、なぜか私たちも受講生たちと一緒の立場になって追体験したような感覚でした。誰かのために行動すると、同時に自分たちに「新たな学び」として還元されるということを肌で感じました。
授業を作り上げる準備の過程でも、さまざまな葛藤や助け合うことの重要性を実感した場面が多くありました。私たち一人ひとりがもつ強みを今回の授業で重視していたポイントにしたがって、バランスを考えながら取り入れることの難しさを実感しました。そこには乗り越えるべき壁もありましたが、普段はネガティブに捉えがちな自分の特徴が、プラスの方向に働くこともあり、嬉しさを感じました。
そして今回授業の受講生の声としてまず上がったのが、「教科書では得ることのできない学びであった」「紙を見て学ぶ戦争とは違う」ということでした。被爆体験者のリアルな言葉、対話内の様々な言葉や意見を通して、彼らにとって有意義な体験になったと感じます。また、その対話の重要性を感じてくれた受講生もいました。そして彼らの多くが戦争や平和に対して「自分事化するとはどういうことか」、そもそも「自分事化するべきなのか」と問いかけ、葛藤しました。その生み出された「葛藤」それ自体が、今回の授業の大きな成果ではないかと考えています。「葛藤」が生まれた今、「伝承」に向けて一歩ずつ近づいていると信じようと思います。

誰かに何かを伝えることはとても難しく、それも自分に起こったことではないことを、できるだけ誰も傷つけない方法で伝え、記録するということは決して一人ではできないことだと感じました。だからこそ、仲間との対話を通じて視野を広げ、様々な意見や感情を吸収しながらともに形にしていくことが大切だと再確認することができました。そして、この工程があるからこそ最終的に自らの学びに返ってくるのだと思います。
尚、本活動は麗大麗澤会チャンジ支援事業The Seedによる助成を受けています。
英語コミュニケーション専攻3年 宮内みずき
英語・リベラルアーツ専攻3年 田中美鈴