【廣池学園 理事長・麗澤大学 学長メッセージ】令和二年度入学のみなさまへ
2020.4.2

本学では、新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえ、2020年4月2日に予定しておりました2020年度麗澤大学入学式を中止することといたしました。

新たな門出を祝う式を中止することは、新入生ならびにご家族のお気持ちを察すると断腸の思いではありますが、皆様の健康と安全を最優先に考えて下した決断であることを、ご理解賜りますようお願いいたします。

 


 

 

 

新入生の皆様、麗澤大学へのご入学、誠におめでとうございます。

 

教職員一同とともに、心よりお祝い申し上げます。

このたびは、新型コロナウイルス感染症が国内においても拡大している現状から、式典に参加される皆さんの健康と安全の確保を考慮し、残念ながら今年の入学式を中止することといたしました。本学の満開の桜も皆さんの入学を心待ちにしていたところではありますが、どうかご理解くださいますようお願いいたします。

麗澤大学は、創立以来一貫して、高い人間性、道徳性を備え、国際社会に貢献できる人材の育成をめざしてきました。創立者・廣池千九郎は、本学の前身である「道徳科学専攻塾」を昭和10年(1935年)にこの地に設立したとき、知識を真に生かすものは人間性・道徳性であるという「知徳一体」の教育理念を掲げ、人格陶冶を根幹として徹底した英語教育と実務教育によって、「世界で信頼と尊敬を受ける真の国際人の育成」をめざしたのです。

そして、昭和3年(1928年)に刊行した『道徳科学の論文』において「新科学としてのモラロジー(道徳科学)」を提唱し、昭和10年に学校教育と社会教育を同時にスタートして人格教育に取り組みました。そこで、建学の精神を踏まえて、本学の教育の特色を紹介するとともに、新入生の皆さんへ私からのメッセージをお送りします。

第一に、皆さんは、まず大学に入った目的を明確にし、将来の目標をしっかりと立てて勉学に励むことが大切です。そして本学において、人間として生きていくうえで行うべき道、あるいは大道というものを学び、正しい人生観、世界観を確立していただきたいと思います。

本学に入学した皆さんが、これから4年間、勉学やクラブ活動等に打ち込んで青春を謳歌することができるのも、祖父母や両親をはじめとする多くの恩人の方々の恩恵の賜物です。このような恩を感じ、そして恩に報いることができないような人間では、一人前の真に独立した自由人とは言えないでしょう。そして、この4年間という与えられた貴重な時間を最大限に生かし、悔いのない学生生活を送るとともに、将来それらの方々に恩返しができるような人間になっていただきたいと思います。

二番目に、本学は「知徳一体の教育」を根幹に置いていることです。創立者は、「真の知識というものは道徳に一致すべきである、あるいは含んでいるべきである。真の道徳は、必ず正しい知識の基礎の上に立つものである」と教えております。

大学という最高学府に学び、高い知識を身につける諸君は、それにふさわしい立派な人間性、品性、人格を備えていただきたいと思います。要するに、豊かな人間性や高い人格に裏付けられてこそ、初めて知識や教養は生かされるのであって、知徳一体の人間でなければ真に社会に貢献することができないのであります。

三番目は、「出藍の教育」です。「出藍」の由来は、中国の古典 『荀子』 にある「青は藍より出でて藍より青し」という言葉です。

本学には、教育者として、研究者として、大変立派で優秀な先生方が沢山おられます。皆さんは先生方から積極的に多くのことを吸収し、学問の厳しさや楽しさを学ぶとともに、人格的な感化も受けて大きく成長していただきたい。そして将来は、先生方よりもさらに立派な人間となって活躍することによって、社会や国家の進歩・発展に貢献していただきたいと思います。

また、本学の図書館には「経をもって経を説く」(王 鳴 盛)という額が掲げてあります。これは、注釈書に頼らず直接、原典・原著にあたることが最良の研究方法であるという意味で、これも創立者が中国の古典から示した教えであります。大いに図書館を利用して、専門分野だけでなく幅広く本を読んで、多くの知識や教養を身につけていただきたいと思います。

四番目は、どうか大きな夢・理想をもって勉学に励み、「高い人間性、道徳性を備えた真のグローバル人材」になっていただきたいということです。

本学には、優秀な内外のスタッフ、また留学生とともに生活するグローバル・ドミトリー、そして積極的な海外への留学制度等々の恵まれた教育環境が用意されています。皆さんは、先人の叡智から日本の歴史、伝統、文化を学び、その上に実践的な語学と専門知識を身につけ、広く諸外国の伝統、文化、社会を理解して、真のグローバル人材なっていただきたい。そして、世界各地で活躍している多くの卒業生に続いて、皆さんも国際社会へと大きく羽ばたいていくことを期待しています。

留学生の皆さんは、遠く海外より麗澤大学にようこそお越しくださいました。かつて日本が欧米から学んだように、皆さんの中にも日本の経済的成功の真因である歴史、伝統、文化を真剣に学ぶ留学生も多いかと思います。どうか、この日本で過ごす貴重な時間を有意義なものとするため、勉学に励むことはもちろん、日本の社会や日本人についての理解を一層深めて、よき友人をたくさんつくり、思い出深い留学生活を送っていただきたいと思います。

日本人の学生の皆さんにお願いしたいことは、留学生を温かい心で迎えるとともに、謙虚な気持ちで彼らから学ぶ姿勢も忘れないでほしいということです。われわれ教職員は、留学生に対しても日本人の学生と同じように接していきます。

最後に、学生諸君に対して教職員は一人前の紳士・淑女として接しますので、皆さん大学生として恥ずかしくない学生生活を送っていただきたい。これは将来、立派な社会人となるための第一歩でもあるのです。そして、大きな理想や夢をもって、「初心忘るべからず」の精神で日々新たな気持ちで勉学に励み、かけがえのないこの時間を、人生の礎をつくる学生時代を、楽しく有意義に送られることを心より念願いたします。

学校法人廣池学園 理事長 廣池幹堂

 


 

 

 

 

 

 

 

ご入学される皆様、ご家族、保証人の皆様

新入生の皆様、ご入学、誠におめでとうございます。

この度、令和2年度麗澤大学入学式を中止することとなり、満開の桜の下、新たな門出を祝うこの日を楽しみにしていた新入生、そしてこれまで皆様を支えてこられたご家族の皆様、保証人の皆様のお気持ちを思いますと、大変無念であり、私たち教職員一同も残念でなりません。しかし、皆様が本日ご入学されますことを、教職員一同心よりお祝いする気持ちは変わりません。麗澤大学を代表いたしまして、新入生ならびにご家族、保証人の皆様に心よりお慶び申し上げます。

本年度の新入生は、外国語学部・経済学部・国際学部の3学部あわせて学部生677名、大学院は言語教育研究科・経済研究科・学校教育研究科の3研究科あわせて大学院生18名、総計695名です。麗澤大学を代表いたしまして、皆様の入学を心から歓迎いたします。

冒頭から私事で恐縮ですが、入学式を迎えるたびに思い出すことがございます。それは、私が36歳(今から約32年前)、麗澤大学教員でありながら米国ペンシルベニア大学大学院へ留学の機会を得て、入学直後の最初の授業にでた時の強い印象です。

1つ目は、クラスの学生の国籍が、アメリカ、中国、韓国、日本、タイ、ベトナム、東欧やソ連など多様でしかも、20代から60代の広い年齢層で構成されていたことです。2つ目は、多様な学生を前提に、経済学の専門基礎から応用までを身につけさせる体系的なカリキュラムと分厚い教科書が整っていたことと、丁寧でしかも熱意を持ってがっちり教える教授陣の存在に驚かされました。3つ目は、クラスサイズが約20名と小規模なので、学生と教員との壁がなく初日から質疑が活発で、教員は学生一人ひとりを把握しており、個性に応じた教育がなされていたことです。この米国ペンシルベニア大学での強烈な教育体験が、「小規模にこだわる。国際性にこだわる。麗澤大学」に結実しております。

さて、今の時代はどうかと言えば、情報通信や交通手段の革命的な発達やメガ自由貿易協定(FTA)の出現等により、多くの日系企業は欧米やアジアを中心に海外へ進出し、ビジネスのグローバル化が急速に進展しています。一方で、America First等の自国第一主義や米中の貿易戦争や新型コロナウイルスの世界的な流行など、現在の世界経済は混沌としております。国内でも少子高齢化社会を迎え、先が見えない時代でもあります。しかし危機はまた新しい始まりでもあります。まさに時代は、「どんな環境下でも、異質なものを変換してつなぐタフさ、変化に立ち向かうマインドをもつグローバル・リーダー」を求めています。

今から85年前、我が国が昭和恐慌、ブロック経済化など一連の危機に見舞われた昭和10(1935)年に、本学の創立者である法学博士廣池千九郎は、知識と道徳はひとつに調和すべきであるとする「知徳一体」の建学の精神の下に、本学の前身である全寮制の「道徳科学専攻塾」を千葉県柏市の緑に囲まれたこの地に開設し、多くの人材を輩出致しました。その教育方針は、第1に、「知徳一体」や「道徳経済一体」の教育、つまり自分、相手、第三者を活かす「三方よし」の教育、第2に原書による実践的な英語教育と国内外の有識者による特別講演などの実施、第3に「三方よし」の教育の実践の場としての全寮制の採用、という極めてユニークなものでした。最後の学生による自治の精神は、国際教育寮として現在の「グローバル・ドミトリー」に受け継がれております。

英語を重視する姿勢は、昭和34年に外国語学部の開設へと発展し、外国語学部では、「知徳一体」の教育理念の下、主体的な学びを実践するActive Learningの授業や英語、ドイツ語、中国語などの多様な外国語や外国文化が習得できる専攻や留学プログラムが配置されており、日常のクラスやサークルで世界の仲間と学びあい、多文化・多言語社会で活躍できるタフさ、マインドを身につけることができます。

一方、国内外の有識者による特別講演の伝統は、近年では、2001年の孔子第77代裔孫の孔徳成先生、2007年のアジア・アフリカ・ヨーロッパの難民救済に尽力された犬養道子先生、2014年の国際運輸企業のエバーグリーン・グループ当時の総裁の張榮發先生、2018年のノーベル平和賞受賞者のダライ・ラマ法王への名誉博士号の授与と特別講演へと引き継がれております。そして、今年度も、駐日外交団長・駐日サンマリノ共和国特命全権大使のマンリオ・カデロ先生へ名誉博士の称号を贈呈し、特別講演会の開催を予定しています。

道徳と経済は一体であるという「道経一体」の理念は、平成4年に国際経済学部(現在の経済学部)の開設へと発展し、経済学部では、この「道経一体」の理念を根幹に据え、道徳と自主性で人間力を、経済・地域創生・経営・スポーツビジネスそして、AI・ビジネス専攻という多様な専攻群とデータサイエンス科目群の設置、全専攻でAIを学べる体制により、専門性を身につけることができます。

さらに、今年度誕生した国際学部では、異なる文化や価値を“つなぐ”をコンセプトに、世界の人々と協同・共生し、「多様なものをつなぐ」力を兼ね備えた人材を輩出する科目群を配置し、より多くの学びができます。しかし、日本と異なる文化や宗教を持ち、意思決定の仕方や表現方法が異なる世界の人々と協働・共生するということを学ぶことは、簡単なことではありません。これらを含めグローバル力は、旧来の大教室の座学だけでは身につきません。キャンパスを飛び出し、地域や世界と直に触れ合い、お互いに切磋琢磨する中で身に付くものです。学生の顔と名前が一致する小規模の本学では、学生の「やる気に火をつける仕掛け」が豊富に用意されていますし、学生の伸びる力を教職員や仲間が協働し、サポートしています。この仕掛けの1つが、在学中に読書の習慣を身に付けてほしいと思い作成した『麗澤大学生に読んで欲しい100冊』という冊子です。是非活用していただきたいと思います。

最後に、本学の校歌で「日々に孜々、日に新たなり」と詠われていますように、皆様が本日から新たな一歩を踏み出し、充実したキャンパスライフを送られますことを祈念し、告辞といたします。

麗澤大学学長 徳永 澄憲