学生生活学生相談室

コラム
2021.06.25

学生相談室コラム Vol.29 - 推薦図書『100万回生きたねこ』

『100万回生きたねこ』佐野洋子 [作・絵] / 講談社

 この頃は、読書というと、つい小説とか新書とか、ビジネス書や教養書とかを手にとってしまいますが、先だって絵本の名作『はらぺこあおむし』の著者エリック・カールさんがお亡くなりになったのを契機に、『はらぺこあおむし』(1969年)、『ないたあかおに(泣いた赤鬼)』(1935年)など、古~い絵本、子供のころに親しんだ絵本を振り返って見ています。成人してから読むとまた違った趣きがあることを実感します。大人になってから読むと、子供のころに読んだこととは異なる心象風景が広がりますね。『ないたあかおに』が90年近く前の初出だというのにもビックリです。

 『100万回生きたねこ』という名作を紹介します。1977年出版なので、こちらも古い作品です。現在大学生の皆さんが子供のときは読んだでしょうか。ちょっと年代が違うかもしれません。

 時代を超えて、飼い主が替わりながらも、生きて死んで、また生き返って、の繰り返しを100万回の主人公のねこ。「おれは100万回も、しんだんだぜ」が口ぐせ。生き返るので、死ぬのは怖くない。ねこは、誰より自分が好き。そのねこが、とうとう生き返らなくなったのは...。さあ、どうしてでしょう。

 『100万回生きたねこ』は、愛のものがたりです。"愛"にもいろいろありますが。あなたの周りの大事なひとに思いを馳せる、思いやりを思い出す。そういうきっかけを与えてくれる本です。こころが枯れてきたら、読んで潤ってください。

 学生相談室となりの「こころの休憩室」に所蔵しています。休憩室は、飲食もOKです。ひと息つくのにも、どうぞ。

100万回生きたねこ.JPG

学生相談室 寺本 敬子