この映画は、イタリア、フランス、ソビエト連邦、アメリカの合作になる1970年の映画で、冷戦期と呼ばれた時代に、ソビエト連邦(現在のウクライナ)でロケの行われた珍しい西側諸国の作品ということになります。ソビエト連邦と言うと、若い方は知らない人もいるかもしれませんが、「ソビエト社会主義共和国連邦」という正式名称で、1991年まで存在していた連邦です。歴史で習うかもしれませんが、どういうところであったか、興味のある方は調べてみてください。
第二次大戦のさなかのイタリアで、愛し合う新婚カップルのアントニオ(夫)とジョバンナ(妻)。アントニオは、あまりの離れがたさに精神病を装って戦地へ赴くのを逃れようとしますが露見し、過酷なソ連戦線へと送られます。やがて時が経ち、終戦。ジョバンナは、夫が生きていることを信じ、彼の老母とともに何年も夫の復員を待ち続ける。「今日こそ帰ってくる」と、復員兵を乗せた列車が着くミラノの駅のホームに立ち続けるうち、アントニオと同じ部隊にいた男に出会います。
男が語ったのは、最後に雪原に倒れ動けなくなったアントニオを残して別れた、という話でした。それでも、ジョバンナは彼の生存を信じ、夫を探しに言葉も通じないソ連に旅立つ。そして、そこで彼女が見たものは...。
夫のアントニオを演じるのは、マルチェロ・マストロヤンニ。この俳優さんは、実際に第二次世界大戦にイタリア兵として従軍し、ドイツの捕虜収容所に入れられ、からくも脱出した経験をもつ方です。妻のジョバンナは、ハリウッドの作品にも出演している同じくイタリアの女優ソフィア・ローレンが演じています。二人とも、いかにも、イタリア人らしい風貌で、愛し合うカップルを熱演しています。
また、音楽も素晴らしく、映画音楽の巨匠ヘンリー・マンシーニが担当しています。マンシーニは、アメリカの作曲家で、代表作に「ティファニーで朝食を」「ピンクパンサー」、刑事ドラマの「刑事コロンボ」のテーマ曲など数々のヒット作を生み出しています。
ジョバンナが、アントニオを探しに旅立った先、現在のウクライナで広がる一面の黄色いひまわり畑。そこに流れる悲しげな名曲が、その後のストーリーの展開を予想させます。