お知らせ
【開催報告】元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表・滝澤三郎先生による国際学部特別講義を開催
2026年6月17日(水)、国際学部2026年度春学期特別講義として、「ISI基礎演習IB」(担当:佐藤裕視講師)の授業において特別講義「分断される世界、つながる人々―移民・難民政策と日本の未来」を開催しました。当日は、「ISI基礎演習IA・IB」「専門ゼミナールA(gs-6)」「卒業研究A(gs-6)」「国際交流上級演習A」の履修者に加え、希望する学生も参加しました。
講師には、東洋英和女学院大学名誉教授であり、元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表の滝澤三郎先生をお迎えしました。滝澤先生は、カリフォルニア大学バークレー経営大学院にて経営学修士(MBA)および米国公認会計士(CPA)を取得後、国連ジュネーブ本部やUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)、UNIDO(国連工業開発機関)、UNHCRなどで要職を歴任され、難民問題や国際協力の最前線でご活躍されてきました。
本講義は、国際学部国際社会・国際情報(ISI)専攻が目指す、国内外の情勢を客観的に分析し、自ら考え、判断し、行動する力を養う学びの一環として実施されました。移民・難民問題や外国人をめぐる議論が活発化するなか、学生が多様な価値観や立場を踏まえながら、現代社会の課題について考えることを目的としています。
講義では、世界で深刻化する移民・難民問題を取り上げ、その背景や現状について解説が行われました。滝澤先生は、紛争や迫害、貧困などを背景に移民・難民が増加する一方、受け入れ国では反移民・反難民の動きが広がり、社会の分断が深まっている現状を説明しました。
その上で、移民・難民をめぐる課題を「人権」「市場」「治安」「文化」という4つの力から整理しました。「市場」と「人権」は労働力の確保や人道的保護の観点から受け入れを後押しする一方、「治安」と「文化」は社会の安全や生活習慣を守る観点から慎重な対応を求める傾向があり、こうした価値観の対立が社会の分断を生み出していると説明しました。また、4つの力は対立するだけでなく相互に支え合う側面もあり、それぞれのバランスを取ることが重要であると指摘しました。
また、日本における外国人労働者の受け入れや難民保護の現状についても紹介しながら、移民・難民問題をめぐる国際社会の動向や、日本が果たすべき役割について解説しました。
最後に質疑応答が行われ、技能実習制度の今後や移民政策、日本社会における共生のあり方などについて多くの質問が寄せられました。学生たちの関心は高く、講義終了時刻まで質問が途切れることなく続き、滝澤先生は丁寧にお答えくださいました。学生から「4つの視点をバランスよく考えるために何を心掛けるべきか」との質問が寄せられると、滝澤先生は「正義は一つではなく複数あることを意識してほしい」と語り、自分とは異なる価値観にも耳を傾ける姿勢の大切さを伝えられました。
今回の特別講義は、移民・難民問題を題材に、国際学部ISI専攻が重視する学びを実践・学術両面で深める機会となりました。学生たちは、社会の分断が生じる背景や多様な価値観のバランス感覚をもつことの大切さについて理解するとともに、複雑な国内外の課題に対して自分自身の視点を持つことの重要性を学びました。











