佐藤 裕視
佐藤 裕視 (SATOH, Hiromi)
職名
講師
学部
国際学部
学科
国際学科
専門分野

・国際政治学、アフリカ地域研究、国際機構論、国際協力論

研究テーマ

・国連信託統治制度の生起と終焉
・国際社会による領域統治と民族自決
・エウェを中心とする西アフリカ民族動態史

学歴

・ハーバード燕京研究所=ハーバード大学アフリカ研究センター アフリカ研究訓練プログラム 修了
・東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻国際関係論コース博士課程 単位取得後満期退学
・東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム (国際関係論分野)修士課程 修了
・青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科 卒業

取得学位

・修士(国際貢献)(東京大学)
・学士(国際政治経済学)(青山学院大学)

受賞歴

・研究成果発信に係る所長賞(JICA緒方貞子平和開発研究所)
・ヨーロッパ財団秋季欧州研修奨学金(ドイツ学術交流会(DAAD))
・青山学院大学熊谷正寿(GMOインターネット株式会社)冠奨学金(成績優秀者奨学生)(青山学院大学)

主要経歴

・国際協力機構JICA緒方貞子平和開発研究所 リサーチ・オフィサー(開発協力戦略領域/政治ガバナンス領域)
・明治学院大学法学部政治学科 非常勤講師
・日本戦略研究フォーラム 研究員
・ハーバード大学アフリカ研究センター 燕京客員研究員
・東海大学教養学部国際学科 非常勤講師
・外務省国際情報統括官組織第二情報統括官室 専門分析員(西・北アフリカ及欧州におけるテロリズム)
・国際協力機構JICA研究所 非常勤研究助手(援助戦略領域)
・日本学術振興会 特別研究員(DC2)
・国際協力機構JICA研究所 非常勤研究助手(平和と開発領域)

学術論文

・Realities of Chinese Foreign Aid to Africa : At the Terminal of Belt and Road Initiative 『日本戦略研究フォーラム季報 = JFSS quarterly report』 (87) 115-128 2021年1月 単著 (2021)
・「国際政治とパラリンピック −二つのみかた:国際開発論と国際政治学− 『日本財団パラリンピックサポートセンターパラリンピック研究会紀要』 9: 63-76 単著 (2018)
・「国際障害者権利保障制度と日本による国際協力の結節─アジア太平洋障害者支援センター(APCD)設立を焦点として」 『日本財団パラリンピック研究会紀要』 4: 65-89 単著 (2016)

その他

・国際信託統治制度の創設,転回,終焉,継承ー主権国家体系への問いかけ 単著 日本国際連合学会第24回研究大会 (於:国立オリンピック記念青少年総合センター) (2023.06.11)
・日本の対アフリカ援助をめぐる「現実主義路線」と「国際協調路線」の交錯ー1987, 1993, 2003ー 単著 (公財)平和・安全保障研究所日米パートナーシップ・プログラム第6期(通算20期)最終論文発表会(於:国際交流基金本部) (2022.07.24)
・[書評]「Emma Hunter著『Political Thought and the Public Sphere in Tanzania』 Cambridge University Press、2015年、282頁、£89.99。」 共著(楠木和樹, 佐藤裕視, 角正美, 平山草太, 溝内克之) 『アフリカ研究』 2023(100) : 132-135 (2022.03.01)
・「アフリカの「未来」を囲う中国ー日本は独自色で存在感示せ」
単著 34(1): 80-83 (『ウェッジ』)
・An Incorporated Nationalism and ‘Local Voices' through New York: Why and how extent Ewe unification movement was affected by international trusteeship mechanism? 単著 African Studies Association The 64th Annual Meeting (Online) (2021.11.18)
・エウェ統一運動と英国信託統治領トーゴの自決−国連を介したトランスファー・オブ・パワーの模索 単著 日本国際政治学会2020年度研究大会アフリカ・国連合同分科会(オンライン) (2020.10.24)
・Human Dignity as ‘a standard of civilization’? 単著 The Fourth Annual Conference of Japan Association for Human Security Studies (Keio University, Shonan Fujisawa Campus, Kanagawa, Japan) (2014.09.7)

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教員プロフィール

国際政治学とアフリカ地域研究を軸に研究しています。国際政治学では、特にどうやってアフリカを中心とするグローバル・サウス(発展途上国)が国連などの国際機関や国際制度を能動的に利用しながら、国際社会に及ぼしながら変化してきたかについて、理論および事例(国連諸機関や開発)から研究しています。また、アフリカ地域研究では、西アフリカに暮らすエウェ(Ewe)の人々がガーナおよびトーゴといった国家を跨いで展開してきた連帯運動について、国際関係史や現代アフリカ政治、アフリカ系アメリカ人研究の観点から研究しています。そして、これまで外交や国際協力、安全保障政策に関する政府機関やシンクタンクで勤務した経験から、実社会(現実)と研究(理論)のギャップを埋める研究の社会実装についても関心があります。

教職員への一問一答

好きな言葉(座右の銘)を教えてください。
好きな言葉はたくさんありますが、特に大切にしてきたのはこの2つです。
Where there is a will、 there is a way. (意志あるところに道は開ける)
アメリカ合衆国第5代大統領エイブラハム・リンカーンの言葉とされていますが、諸説あります。人は何かを成し遂げるためには強い意志が必要です。翻って、能力の高さに慢心しているだけでは何事も成せないとも言えます。

百折不撓
中国後漢時代末期の政治家・蔡邕の「橋大尉碑」に記されたとされる言葉です。「何度挫けても自分の志」と言う意味で、物事が途中でダメになっても、最後まで諦めないという趣旨の言葉です。

LTTE
これは座右の銘というよりもモットーですね。前職のトップから教えて頂きました。研究だけでなく、大学生活でも当てはまると思います。
L : Learn well. (よく学びましょう。大学生活では学ぶための時間、場所、課題がたくさん用意されています。)
T : Talk a lot.(たくさん対話ましょう。友達や家族、先輩や後輩と勉強も遊びも人と話すことで考えが変わったり、深まったりします。)
T : Think harder.(常になぜ、どうしてと問い続けましょう。考えること/問い続けることで生まれるものがあります。)
E : Enjoy what you do!(真剣に楽しみましょう。勉強でも遊びでも、本気で楽しんだ者勝ちです。)
休日の過ごし方や趣味を教えてください。
子どもと散歩したり、家族で出かけたりすることが多いですね。最近は行けていないですが、ロードバイクでのツーリングもしたいですね。
大学4年間で「学生に訪れてほしい場所」はどこですか?その理由も教えてください。
 途上国と先進国それぞれ、首都(都市部)とそうでないところ(農村部など)に行って欲しいですね。都市部では先進国と途上国とであまり違いはないこと、つまり共通点を見出すことができると思います。他方、農村部などでは先進国と途上国で大きな違いを感じることができると思います。また、同じ国や地域でも、都市部と農村部などでは大きな違いを感じることができるでしょう。
 あと旅で大事なことは、「どこに行くか」と同じくらい、「誰と行くか」も重要な要素です。これまで訪れたことのある国でも仲の良い友達同士で行くのと、一人で行くのでは全く違った世界を感じることが出来ると思います。ぜひ様々な国や地域で様々な人と交流してみてください。
大学4年間で「学生に読んでほしい本」は何ですか?その理由も教えてください。
 読んで欲しい本はたくさんありますが、硬軟二種類紹介します。まずは「軟」から。沢木耕太郎の『深夜特急』です。私よりも上の世代になりますが、かつてはこの本をバイブルに、東南アジアから欧州まで、多くの若者達が「バックパッカー」として世界中に旅立ちました。私も大学学部生時代には友人とタイから陸路でカンボジアに入ってアンコールワット遺跡を訪問したりしました。

 次に「硬」ですが、Jackson、 Robert. Quasi-states: Sovereignty、 International Relations and Third World. (Cambrdge、 Cambridge University Press、 1990).です。米国の政治学者の書いた本です。現在私たちが生きる国際社会について考える上で最も基本となる単位は国家(主権国家)ですよね。この本の興味深いところは、この前提を疑っているところです。この本は、一口に「国家」と言っても最小様々、多様な国家があり、その中には国内政治の腐敗や植民地だった経験が原因で、中央政府が自国の全土を有効に統治しきれていない「国家もどき(quasi-states)」が含まれてきたことを指摘しています。こうした「国家もどき」でも海外からの援助に依存しつつ、国際社会の立派な構成員として存在しているという指摘に国際政治学のおもしろさが垣間見られます。目には見えないけれど階層性(ランキングや「スクールカースト」)がある人間社会にも通ずる観点だと思います。

専門分野に興味を持ったきっかけは何ですか?
  2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロです。高校生の時に、テロ攻撃によって米国N YマンハッタンのWorld Trade Center(今は跡地にOne World Trade Centerという施設が建ち、記念モニュメントや博物館があります)が崩落する様子を生中継で目の当たりにしました。この事件を目の当たりにしたことで、それまで漠然と法曹になるために大学では法律を専攻しようと思っていたのですが、一気に吹き飛びました。それぐらい衝撃的な出来事でした。その後、米国はアフガン戦争(2001-2021)、イラク戦争(2003-2011)に突入し、長い戦争の時代に入ることになりました。それがちょうど私の大学生時代と重なったんですね。この一連の事象がきっかけとなり、国際情勢、特になぜテロが起きたのか、そしてなぜ米国はアフガニスタンやイラクで戦争をしなくてはいけなかったのか、強い関心を抱くようになりました。結果、大学では国際政治学を専攻し、国際機構論や安全保障論、国際制度論など関連分野を学び、更に国際関係論について探求したいと思うようになりました。
専門の研究は社会にどう活かされていますか?(過去、未来含め)
 国際関係論の中でも国際協力や国際開発に関する研究は、日本の重要な外交ツールである政府開発援助(ODA)の効率的、戦略的な運用に寄与しています。また、アフリカの諸地域に関する研究は、まだ日本では一般にあまり知られていない国や地域が多い分、成果の発信が関心を喚起するのに役立っていると考えます。
麗澤大学の好きなところはどこですか?
四季折々で美しいキャンパスと、学生と教員の距離が近いところです。