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2022.01.12|最終更新日:2022.01.31|

【第1回実施報告】国際学部「グローバル基礎演習」にて株式会社東京スター銀行の牛堂望美様による特別講義を実施

 国際学部グローバルビジネス専攻の「グローバルファイナンス・AIコース」と「グローバル経営コース」では、2021年度後期に開講されている「グローバル基礎演習」の授業で、財務、ESGCSRといった異なる視点について、まず理論を学び、その上で、それぞれの視点から実際の企業を取り上げることで、企業間の比較評価などの演習を行っています。昨今は「ESG投資」に代表されるように、企業のサステナビリティに対するステークホルダーの評価が厳しくなっています。こうした視点を理論と実務の両面から学ぶことで、サステナビリティに対し、全体的な理解を得ることを目指しています。

 本講義は、理論と実例の講義、グループワークによる事例分析、ディスカッションとグループ報告を中心に進められていますが、これに加え、実務の現場に対してさらに理解を深めるため、こうした分野で活躍されている実務家の方々をお招きして、特別講義を開催しています。202111月には、株式会社東京スター銀行の牛堂望美様にお越しいただき、これまでのキャリアと、そこに至るまでの道筋、さらには現在の業務内容など、大変興味深いお話しを聞かせていただきました。

 牛堂様は、名古屋大学大学院国際開発研究科を修了後、NGOの「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」等を経て2015年より東京スター銀行にて、金融教育(子どもの貧困解決)の実施や、ESGの推進などに従事されています。

 牛堂様の講義では、まず、貧困問題解決に向けた金融教育の重要性が指摘されました。一人ひとりが自立的で安心かつ豊かな生活を実現するには、金融リテラシーが不可欠です。しかし日本人は他の先進国と比較して、金融リテラシーが低いと言われています。これが長期的な格差拡大や貧困の再生産など、深刻な社会問題の一因となっています。東京スター銀行では、子供たちの将来の自立を目指して「お金のスタートレーニング」略して「金トレ」を、子供や若者に向けて無償で提供しており、牛堂様はこの活動に、金融教育の専門家として力を入れていらっしゃいます。

 また、気候変動を始めとした社会への対応として、金融機関はESG金融、すなわちサステナブルファイナンスが求められています。具体的には、ESGに良い影響を与える事業・企業への投融資の促進や、ESGに悪い影響を与える事業・企業からの投融資の撤退、さらに金利優遇等を通じてESGに良い影響を与える事業・企業への移行の支援などがあります。牛堂様の講義では、こうした点において、金融業界がサステナビリティに貢献することの重要性も指摘されました。

 最後に、学生の将来にむけたアドバイスとして「自分の関心分野を必ずしも狭める必要はない」という言葉をいただきました。関心のあるテーマが2個あるいは3個あれば、それらのテーマを掛け合わせることで自分のオリジナリティが現れ、それに合う道を探すことで自分のキャリアが見えてくるからです。また、これまでとてもエネルギッシュなキャリアを歩んでこられた牛堂さんから「気軽に肩の力を抜いて考えることも大事だ」というコメントもいただき、多くの学生が安堵の表情を浮かべたように思います。

  • 牛堂様1.jpg牛堂 望美様
  • グロビ特別講義.jpg講義の様子

講義を受けた学生からは、次のようなコメントが寄せられました。

「とにかく初めて知ることが多かったです。お話を聞いていてこんなに質問したいことが思い浮かぶのは初めての体験でした。先取り貯金はすぐに取り組んでみようと思います。今までは余ったお金を貯金に回すことが普通だと思っていたのでとてもびっくりしましたが、これだとお金がたまりそうだなと納得しました。CSRが企業にとって利益になるものだと思わせるのは、簡単なことではないと感じます。これを実践していらっしゃる牛堂さんは、本当に素晴らしいことを仕事にされていて、とてもすごい人だなと思いました。そんな方から直接お話を伺えてとても良い経験になりました。」(川波なぎさ)

「一番印象に残ったのは、点と点は線で繋がると思ったことです。牛堂さんは学生時代に教育学部に在籍していましたが、そこで『先生という職業があまり合わないと思った』とおっしゃっていました。しかし、職業としての先生には合わなくても、子供のことが大好きであることは伝わりました。おそらく、それが今になって、子供向けお金の教育という仕事に結びついているのだと思います。一見すると、教育とは無関係な金融の仕事において、教育学部で学んだことが生きているのは、まさに点と点は線で繋がることを証明していると思いました。また、私から『これまで悩んだ事がありますか』という質問をしたところ『今も悩んでいる』『考えることはやめない』とおっしゃっていました。これは僕の常識とは少し違い、新しい発見をもらいました。学生の頃には悩み、考えることが多くても、就職をしたら悩みはなくなり、家族や子供など自分以外のことだけを考えると思っていたので、牛堂さんの答えには驚きました。大事なのは悩むことであり、その結果として、答えを一つに絞る必要はない。最も重要なのは、人生を有効的に楽しむことなのだと思いました。」(長谷川豊)

「今回の授業を聞いて、今以上に本を読むなどして、知識の幅を広げようと思いました。今のうちに貯金を将来に向けて始めてみたり、家計簿をつけてみたりすることで、金融リテラシーも身につけたいと思います。また、牛堂さんの「自分がやりたいプロジェクトをやっているところに行くのではなく、自分でプロジェクトを立ち上げる方法もある」という言葉に感銘を受けました。自分で一からことを始めるのは大変だと思います。それをあんなに楽しそうにされているのを見て、好きなことを仕事にするって素敵なことだなと思いました。無我夢中に色んなことを挑戦できる時期は今しかない。先入観があってできていないことにも積極的にチャレンジして、経験を増やしていこうと思いました。」(山下恵)

「牛堂さんは、ご自身の関心に忠実に人生を歩んできたのだと感じた。関心を持ったら即行動に移し、色々失敗しつつも成功し、今のお仕事をされていると思った。わたしは、リスクを背負ってまで関心のあることを追求出来るかと言われたら難しいと思う。でも、牛堂さんの生き方は憧れでもある。いい意味で、深く考えずに行動することで、得られる経験や知識は多いと思った。とりあえず行動することで、何かが変わるということを実現されていると感じた」(鈴木ひな)