お知らせ

教育・研究
2022.01.26|最終更新日:2022.01.31|

【第2回実施報告】国際学部「グローバル基礎演習」にて Sedex Australia の 山本 梓様による特別講義を実施

 国際学部グローバルビジネス専攻の「グローバルファイナンス・AIコース」と「グローバル経営コース」では、2021年度後期に開講されている「グローバル基礎演習」の授業で、財務、ESG、CSRといった異なる視点について、まず理論を学び、その上で、それぞれの視点から実際の企業を取り上げることで、企業間の比較評価などの演習を行っています。昨今は「ESG投資」に代表されるように、企業のサステナビリティに対するステークホルダーの評価が厳しくなっています。こうした視点を理論と実務の両面から学ぶことで、サステナビリティに対し、全体的な理解を得ることを目指しています。

 本講義は、理論と実例の講義、グループワークによる事例分析、ディスカッションとグループ報告を中心に進められていますが、これに加え、実務の現場に対してさらに理解を深めるため、こうした分野で活躍されている実務家の方々をお招きして、特別講義を開催しています。2021年11月には、Sedexの山本梓様にお越しいただき、ご自身のキャリアと、そこに至る道筋、さらには現在の業務内容などを詳しくお話しいただきました。

 山本様は、株式会社UL JapanやEcoVadis Japanを経て、現在はSedex Australiaにて、インプルーブメント・エグゼクティブとして勤務されています。

 Sedexは2001年に、社会監査基準や、監査結果へのモニタリング手法を提供する英国発の企業です。一般に「CSR監査」や「サプライヤー監査」と呼ばれる分野で、世界的にも有名な企業です。特に、Sedexの提供する社会監査基準「SMETA(Sedex Members Ethical Trade Audit)」は、サプライチェーンのサステナビリティに関する情報共有とリスク分析のツールとして、日本企業を含めた世界中の企業が活用しています。

 このようなグローバルレベルのESG業務に、日々、専門家として従事されている山本様ですが、キャリアの出発点は大学時代のご経験にあります。山本様は、大学時代、持続的な開発のための教育(ESD)に関心を持ち、一年間アメリカへ留学することを決断されます。持続的な社会を創造するためには、教育から変革を起こすことが重要であると考える一方で、教育の分野に踏み込む前に、まずは社会において大きな影響力を持つ民間企業においてサステナビリティ活動の推進に取り組みたいと思い始めたそうです。学生時代のこうした経験が基礎となり、現在のキャリアにつながっているとのことでした。

  •  山本様は、学生が就職活動をする際には、会社を選ぶための「自分軸」を持つことが重要だとおっしゃいます。山本様の場合は「1.無形サービスを主要事業としている会社」「2.人の多様性を大事にしている会社」「3.グローバルな視点を持って仕事ができる会社」という3つの軸を持ち、これらの軸を中心に、就職先の企業を選ばれたとのことでした。現在もこうした軸の延長線上で、正しい事業やサービスを促進したいという信念を持ち、仕事に従事されています。

     こうしたご自身の経験を踏まえ、最後に、学生の将来に向けて「自らの専門性をキ ャリアにつなげていくためには、社会や他人の価値観に囚われなくてもいい」そし て「自分にとって大事だと思うことを重視して活動することが大事」という言葉を いただきました。その上で「今、大事だと思うことを大切にしてほしい」というア ドバイスをいただきました。山本様の優しくも力強い言葉に、多くの学生が励まさ れたと思います。

  • 山本梓.jpg山本 梓 様

講義を受けた学生からは、次のようなコメントが寄せられました。

「企業のサスティナビリティ評価をしている会社に、普段の生活では関わりがないため、山本さんのお話一つ一つが新鮮だった。なかでも、監査にはまだまだ法律や人間関係等の面での課題があるというお話を聞いて、ただ監査を実施しているか否かだけで、その企業が人権対策に真剣に取り組んでいるのかを、安易に判断してはいけないと感じた。また『自分が大事だと思っていることを大事にする』という山本さんの言葉がとても印象に残った。周りに流されずに自分のやりたいことや大事にしたいものを守り、やり抜く力は、協調性と同じくらい重要なのではないかと改めて思った。」(大庫萌々巴)

「本日の講義では就職に関する捉え方が大きく変わりました。採用されてから再就職までに積極的に活動された話を聞いて、自分の好きなことをするために何回でもチャレンジする事が可能であることを学びました。就職先について悩み始める時期ですが、自分と向き合って好きな業界の仕事に就きたいと思いました。」(高木寧々)

「前回に引き続き、とても貴重な講義を聞くことができました。ありがとうございました。山本さんはしっかりとした自分の軸を持っている方で、私もそんな人間になりたいと思いました。自分の軸を決めることで、就職先企業の狙いを絞っていくこともできるので、私が就活をする際には、この方法をとりいれたいと思いました。今後は、私自身、今まであまり深く考えていなかったサステナビリティや人権の分野についても、じっくりと考えていきたいと思いました。」(千葉陽向)

「今回の授業もとても面白い授業でした。SedexやEcoVadisなど、ESGに直接関わる企業で実際に働かれている方にお話を聞けて、とても貴重な体験ができたと思います。私が一番記憶に残っているのは『自分軸ノート』についてです。もうすぐ3年生となり、就活も始めていかなければなりません。そこで、この自分軸ノートを作っていれば、どんな企業に入りたいのか、どんな業界が向いているのか細かく分析することで、自分自身を知ることができ、面接時に大いに役立つと思うので、今から始めてみようと思います。」(山下恵)

「本日の講義で山本様のお話を聞いて、一番印象的だったのは、行動力の凄さです。自分が『やりたい!』『なりたい!』と思ったら、SNSを使って、自分のプロフィールをたくさんの企業に送るという方法は、普通だったら考えられないやり方だと思いました。その行動力によって、素晴らしい会社に入ることができているのだと思います。また、海外に行くことの大事さも学びました。グローバル化が進展している現代では、海外経験がとても重要になっており、企業に採用される理由の一つにもなっているのだということが、よく分かりました。」(神田佳澄)