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教育・研究
2023.01.19

【開催報告】第3回グローバル・セミナー 藤田昌久特別招聘教授の「地域の活性化と日本の将来―空間経済学の視点から―」特別講義を開催

2023年1月16日、本学経済学部は「2022年度 第3回グローバル・セミナー」として、講師の藤田昌久先生をお迎えして「地域の活性化と日本の将来」をテーマに特別講義を開催しました。


当講義の概要は以下の通りです。

テーマ:地域の活性化と日本の将来―空間経済学の視点から―
対象:経済学部
講師:藤田昌久特別招聘教授
内容:
    1. はじめに:多様な「輝く地域」が日本の未来を拓く
    2. 空間経済学とは
    3. 「輸送費」低減の集積への影響
    4. 人口減少時代における国土づくりと地域政策:歴史的背景と基本的視点
    5. 世界に開かれた、多様な「輝く地域」の連合体として、「知のフロンティア開拓の時代」における知識創造社会の構築
    6. 地域活性化についての基本的な考え方
    7. 地域資源を最大限に活かした地方の創造的再生
    8. 地域における人的資源の開発:積極的な具体策を通じての「異端者」への包容力の促進
    9. コロナ禍から見える都市・地域システムの将来:「デジタル空間」と「リアル空間」が融合した新しい空間システム?
    10. おわりに代えて:龍馬に学ぶ日本再生プラン


藤田 昌久先生は、都市経済学、空間経済学を専門とし、京都大学工学部を卒業後、アメリカのペンシルベニア大学でウォルター・アイザード教授に地域科学(Regional Science)を学びました。そして1972年に同大学よりPh.D. (in Regional Science) を取得。その後も同大で都市経済学・空間経済学の教授として長く活躍し、特に2008年度ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマンらとの共同研究により、新しい「空間経済学」を構築し発展させた、この分野の世界的経済学者です。

講義では、空間経済学の理論から、新幹線によるストロー効果(註:都市間の「輸送費」が低下することにより、より小さな都市の上位階層の(より差別化された)活動・産業が、より大きな都市に吸収されてしまう現象)の事例や、金沢21世紀美術館、徳島県上勝町における「いろどり事業」に代表される地域資源の有効活用の事例、人的資源の多様性から促進される知識や経済への相乗効果などについて熱く述べられました。

講義の最後には、坂本龍馬「船中八策」から学ぶ日本再生プランとして、「令和維新 新幹線八策」を提示され、東京一極集中から、地域における魅力の再発見や、人的資源の開発による多様性の確保など、コロナ渦で生まれた地方分権の動きを加速しつつ、多様性に富んだ新たな国土システムの再構築が必要であることを述べられ、全員が社会革新の主役へと移行していく必要があることを、将来グローバルで活躍するための心構えとして受講生にエールを贈られました。

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以下、講義に参加した学生の感想(一部抜粋。原文のまま)を紹介いたします。


■都市では出来ないこと、その地域だけのものを伸ばすという試みを知り、自分の地域ではどのような事業を行っているのかと少し興味を持ちました。
■東京みたいに人があふれてしまうと地域特有の産物が作れなかったり、環境が汚れてしまうかもしれないのでそこら辺のバランスは難しいのかなと思いました。
■地域資源というのは無限にあるが、その人の考えによって、地域資源が開発されたり、発見されることはなく、自分の住む町に誇りを持つことで、新しい発見ができる、これを地方の人々が念頭に、自分の住む町に誇りを持つことで地方の衰退は少しばかりか和らぐのではないかと思った。