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教育・研究
2023.09.06

【開催報告】映画監督兼プロレスラー Rionne McAvoy氏による特別講義

 国際学部 黒須里美教授が担当する「国際社会学」の授業において、映画監督兼プロレスラーとして活躍されているRionne McAvoy(ライオン・マカヴォイ)氏をお招きして特別講義を実施いたしました。

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 「国際社会学」の授業は、ジェンダーや家族の変化を通じて国際社会の多様性を理解しグローバルな問題に対して柔軟な視点を養うことを目的としています。

 本特別講義では最初に、McAvoy氏の代表作であるドキュメンタリー作品『The Ones left behind: The plight of single mothers in Japan(取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境)』を上映。この作品は、日本人監督ではなく、日本を海外からの視点で捉えることが出来たオーストラリア出身で日本在住のMcAvoy氏だからこそ創れた作品と呼ばれています。

 作品内では、日本社会で隠されたシングルマザーの貧困問題として、養育費未払に対する罰則がなく共同親権の制度が整っていないこと、幼い子どもがいる中で柔軟性の乏しい環境での長時間労働が難しいことから、正社員としての再就職をせずに非正規・低賃金での雇用で働く方がいること、昔のように地域で子どもを育てていく文化が薄れてきており周りのサポートを受けづらくなったことなどが挙げられました。また、この貧困問題が起こした悲惨な事件も紹介され、母親が子育てを背負わなければならない、周りに弱さを見せられない、我慢は美徳などの日本の規範もシングルマザーを苦しめていることが語られました。上映後には、映画の出演者や本学卒業生もご登壇され、シングルマザーとしての実体験をお話くださいました。

 その後はグループディスカッションを行い学生からは「映画を通じてシングルマザーの貧困の真実を知った。日本人には忖度の文化があるので、外国人監督であるMcAvoyだからこそ、ありのままの真実を映した作品を撮影することができたのだと感じた」「貧困は遠い国のことではなく、もしかしたら隣に住む方も貧困かもしれない、自分も将来貧困になるかもしれないという事に気が付いた」という感想が出ました

 最後に、McAvoy氏より「社会に置き去りにされてしまい、隠れた貧困に苦しむ人のSOSに気づけるようになってほしい」とメッセージをいただき特別講義は終了しました。