経済社会総合研究センター 研究活動
2007年度 人口・家族・社会の長期的研究
プロジェクト内容
歴史人口学が日本で誕生したのは、1960年代のことである。以来、現在まで速水融(麗澤大学名誉教授)をはじめとするグループによって、宗門改帳を中心とする史料が収集、管理され、その資料の重要性とそれをベースにした研究が東アジア発信型の新しいアプローチとして注目を浴びている。本プロジェクトの目的は、第一に、昨年度、速水融・名誉教授から麗澤大学に寄贈された貴重なミクロ・マクロ史料を整理し管理するとともに、デジタル化すること、第二に、この史料を用いて長期的展望にたちつつ人口構造・人口変動を捉え、分析を行うことである。日本社会は、現在人口減少期に入り、決定的な転換点を迎えている。宗門改帳に代表されるミクロ史料と府県統計書に代表されるマクロ資料の有機的活用により、人口を長期的かつ多層レベルで捉え、将来に向けて何らかの提言をすることが、歴史人口学を研究するわれわれの使命であると考える。
本年度の研究目標は具体的に以下の4つである。(1)ミクロ資料を整理し、入力を行い、現在までに蓄積してきたデータとともにデータベースの拡充を図る。(2)大学内において、データベース公開のための諸手続きを検討・整備するとともに、大規模な人口史料データベースを利用した研究のワークショップを行っている内外の研究者と交流し、今後のデータベース化の課題と目標を明らかにしていく。(3)資料を利用した研究として、国内では歴史人口学セミナーを中心に、国外では、1995年から継続しているユーラシアプロジェクト5カ国(スウェーデン、ベルギー、イタリア、中国、日本)の研究者とともに地域経済、世帯システム、人口との関連性の実証的共同研究を続ける。(4)明治大正府県統計書(マクロ統計)を活用し、日本社会のさまざま側面を分析する。
本データを利用した研究は引き続き国内外の関連学会、研究会で発表していく。また麗澤大学東京研究センターを利用し、隔月の歴史人口学セミナー開催する。
(http://www.fl.reitaku-u.ac.jp/~skurosu/hdemo/)
プロジェクトメンバー
◎黒須 里美 外国語学部・教授
櫻井 良樹 外国語学部・教授
髙橋 美由紀 国際経済学部・非常勤講師
速水 融 麗澤大学・名誉教授
鬼頭 宏 上智大学・教授
麗澤大学・比較文明文化研究センター・客員教授
岡田 あおい 帝京大学・教授
川口 洋 帝塚山大学・教授
斎藤 修 一橋大学・経済研究所教授
津谷 典子 慶應義塾大学・教授
浜野 潔 関西大学・教授