学生生活学生相談室

コラム
2022.01.26

学生相談室コラム Vol.36 - おススメ映画『チョコレートドーナツ』(原題:Any Day Now)

 いつもは"本"をおススメしていますが、今回は"映画"です。たまには、テーマ性のある映画を観るものいいですよ。

~ 『チョコレートドーナツ』、監督:トラヴィス・ファイン、2012年/アメリカ/本編97分 ~

 この映画は、LGBT問題や障害、貧困、ドラッグなど、様々な社会問題が内包された傑作ですが、舞台が70年代後半で、アメリカでもまだ同性愛への偏見が根強かった頃を背景にしており、LGBTに関する課題には、とりわけ考えるきっかけになる映画だと思います(1970年代の実話をベースに脚色した物語だそうです)。

 主人公はゲイの男性ルディ。ショーパブで働いています。隣りの音が筒抜けのようなアパート暮らしです。隣りには音楽を大音量でかけ他人への迷惑を顧みないような女性が住んでおり、障害児(ダウン症)の息子マルコをネグレクトしています。あるとき、彼女は危険薬物で逮捕され収監されてしまい、マルコは環境が良いとはいえない施設に送られます。

 交際中の検察官ポールと出かけた帰り際、施設から脱走したマルコを発見したルディ。事情を知って心を痛め、ポールを説得して、収監中の母親から彼女が出所するまでマルコを監護する権利を得、彼を引き取り一緒に暮らし始めます。でも、法的手続きの際、自分たちが同性の恋人同士だということは明かせず、従兄弟ということにしました。

 しばらくは、安らかな日々が続きますが、手続きの際に自分たちの関係性を偽ったことが露見し...。

 さて、どうなっていったでしょう。

 いろいろと考えさせられる映画です。この映画の舞台のカリフォルニアは、現在は同性婚も認められていると思います。今なら、この映画に描かれたような結末にはならなかったかもしれません。この作品は、娯楽一辺倒の映画と違って、テーマ性をもっていますし、必ずしもハッピーエンドではありません。ただ、長い春休みに、こうした社会問題がテーマのものも、観てみると、これから遅くとも数年後には社会人になる皆さんには、一つの課題を考える心の準備になるかと思います。

 世界は刻一刻と変化していきます。日本は、どのように変化するでしょうか。 

 TSUTAYAなどでレンタルして観れると思います。Amazonプライムでも観られます。お時間のあるときに、ぜひ。

 学生相談室 寺本敬子