このコラムVol.18は、学生相談室長期休暇イベント「アニメーションを語ろう.pdf」参加作で、２月開始のアンケートの対象です。

　お薦めアニメ　～『TV-SPECIAL ルパン三世　EPISODE:0 ファースト・コンタクト』2002年
　監督：大原実、脚本：米村正二～

　その夜、ルパン三世一味の知られざる過去を取材すべく、とある女性ジャーナリストが接触した次元大介が語り始めたのは、ニューヨークというメガロポリスでルパン三世と出会ったイキサツだった。

　2021年にテレビ放送開始50周年を迎える漫画家モンキー・パンチ氏原作の「ルパン三世」。まだ発表されていませんが、今年は記念イヤーで、いろいろと企画されているようです。毎年のように制作されるテレビシリーズのうち、ルパン三世ファンの間でも一・二を争う人気作品が「エピソードゼロ　ファーストコンタクト」です。ジャーナリストの取材に次元が答えるという形で、一味と銭形警部の出会いの物語が進んでいきます。

　次元大介はマフィアのボスの用心棒、ルパン三世は次元を雇うマフィアが持つお宝を狙う泥棒として対立し、そのお宝を峰不二子も狙っており、日本から国外逃亡犯の不二子を追う警視庁の刑事として銭形警部が登場します。そして、そもそも、そのマフィアのもつお宝が、第二次大戦中も各国諜報部員が血眼で探し求めたという、ダイヤモンドより硬い金属をつくるという東洋に伝わる錬金術の秘伝書、"クラム・オブ・ヘルメス"。

　錬金術という時点でもう匂いますが...。ダイヤモンドより硬い金属、、つまり斬鉄剣です。斬鉄剣が出てくるというと、もちろんその宝を追って十三代目石川五エ門も出てくるという寸法です。

　ルパン三世を仕留めようとする暗黒街の死神・次元大介が、どうしてルパン三世と組むことになったのか、次元とルパンの関係性の馴れ初め話を主軸に他の登場人物が絡んでくる構成です。登場する車もベンツSSK（1928年から僅か数十台生産したのみ、今買うと中古でも億単位）。所々に1971年放映開始の1stTVシリーズにつながる伏線が出てきて、この物語からTVシリーズに続くことを想起させます。

　ストレス発散には、よく知る登場人物が御馴染の活躍をするというストーリーが、安定かつ安心な面白さを提供してくれます。ルパンは不二子ちゃんに裏切られる、銭形警部はルパンを捕まえられない、次元とルパンは相棒になる、そして五エ門は？...。

　また、気分を盛り上げるには音楽も重要。オープニングは、ジャズ畑出身の大野雄二さんが作った名曲「ルパン三世のテーマ」の'89バージョンが、エンディングは同曲の'78バージョンが使われており、もちろん音楽とともに物語も進みます。挿入歌に2ndTVシリーズで使用された「ラヴ・スコール」も流れます。音楽がとってもオシャレでアダルトです。郷愁を帯びつつ小気味いいテンポのJazzyな雰囲気が最高。

　さて、一味が仲間になるまでの紆余曲折はこうだったとバーで女性ジャーナリストに語る次元大介。しかしそれは次元本人ではなく...。最後はこの話がどこまで本当か、まるっきり作り話か、はぐらかされてしまう。ちょっぴり夢も残るところが、また素敵。

　安定の面白さを、ぜひお試しください。

推薦者：教職員　T.K.さん