経済社会総合研究センター 研究活動

2010年度 アパレル販売企業における主婦労働力の活用に関する研究調査

プロジェクト内容

高齢化社会の日本では、少子化による労働力の不足や社会保障制度の存続の問題が極めて重要な課題となっている。そのような中、健康で快活な高技術者である高齢者、高学歴で豊富な経験と人脈を持つ高齢者は貴重な存在であるが、それと同時に電化された近代日本の家庭にある専業主婦等の元気で生活の知恵を持つ専業主婦の労働力としての潜在力は大きい。そこで主婦の潜在する活力と家庭生活を通して得た品々へのモニター効果にいち早く着目し主婦中心に採用した企業、ファッションセンターしまむらがある。家庭生活に支障の無い程度の勤務時間を設定し、多くの専業主婦を雇用しその規模は全国に及んでいる。主婦の生活観あふれる商品に対するアドバイスを採用した商品開発及び仕入れ等は、顧客である他の主婦が希望する商品を、その主婦を中心に開発及び仕入れして店頭に並べるという発想は、極めて単純であり正しい。その発想はまた結果的に、電化された家庭内において時間のある主婦に雇用の場を提供することにもなり、企業及び主婦の双方にとって極めて生産的なシステムとなっている。この不況の時代に躍進している「しまむら」の当システムを研究調査することは、少子高齢化時代に極めて役に立つと考える。さらに家庭の電化もさることながら、高学歴の女性の出現における問題点である、結婚あるいは出産における女性のやむなき退職後の再社会進出をも可能にするシステムの構築に通ずるところがあると考える。今回は「しまむら」を研究調査することにより、家庭に埋没する女性の可能性を生かす雇用を取り上げたい。必ずや少子高齢化による労働力を補って余る程の力を備えているであろう家庭になる主婦の潜在能力を引き出す方策を得ることができると考える。

プロジェクトメンバー

◎成相 修  経済学部・教授
 佐藤 純子 経済社会総合研究センター・特別研究員