お知らせ
【開催報告】情報・データサイエンス・AIコンテスト(ReIDAC2022-2023)を開催
毎年1月末に、外国語学部、国際学部、経済学部の学生たちを対象とした卒論発表会を開催していましたが、2021年度からは情報・データサイエンス・AIコンテスト(ReIDAC:Reitaku IT Service & Data Science & AI Contest)と名称を変更し、2回目(通算21回目)の発表会を開催いたしました。
1年生2件、3年生6件、4年生9件の計17件の発表があり、3学部の学生と教員から、様々な質疑が飛び交う白熱したコンテストとなりました。そして、多くのオーディエンスに発表会の内容を視聴していただくようZoomによる配信も行うハイブリッド開催としました。発表者以外の視聴者にはZoomのLive配信を通して、先輩や同級生たちが発表する姿を伝えました。
本記事では5人の教員が指導した(千葉教授、吉田教授、横田准教授、池川助教、新井助教)から発表を1件ずつ、そして、名称変更から増えてきたAI技術を用いた研究から2件、合計7件の研究発表を紹介します。
(データサイエンス部門)時間帯により最適化された車いすユーザーむけキャンパス通行マップの生成と実運用に向けた課題
まずは、千葉ゼミ所属の外国語学部日本語国際コミュニケーション専攻4年 堀口里奈さんの研究です。
グラフ理論を用いて、麗澤大学キャンパス内のアクセスルートの検証に関する2021年度からの継続研究です。実際に校舎「かえで」「あすなろの」校舎間で通行できると判断したノード間の移動距離と車椅子を使った移動時間を計測し、最短経路を検索するプログラムを作成しました。
その結果得られた時間帯別の経路と移動時間が車椅子ユーザーの利用するルートと一致するか検証し、キャンパスにおける車椅子ユーザーの移動の問題について考察を行った研究です。キャンパスのユニバーサルデザイン化のための基礎研究と言えるでしょう。
(ITサービス部門)PHPを用いた時間割生成サービスの構築
次は、吉田ゼミ所属の経済学部経営専攻4年 前田千里さん、作山太一さんの研究です。現在、学生は時間割を作成するにあたって多くのWebブラウザを開く必要があり、履修登録を完了するまでに手間と時間がかかる仕様になっており、個々人のパーソナルデータや勉強への態度を入力すると、個々に最適化された科目が時間割形式で表示されるWebアプリ(PHPとMySQLを利用)です。実際に、在学生にも利用してもらった結果、時間割を手早く簡単に作成できるようにし、少しでも学生の負担を軽減させることができるシステムという評価をもらっています。
(データサイエンス部門)ジャニーズアイドルグループの衰退要因に関する実証研究
次は、横田ゼミ所属の経済学部経営専攻4年 磯崎永愛さん、経済学部経営専攻4年 小野純奈さん、経済学部経営専攻4年 田中佑茉さんの研究です。アイドルグループの衰退要因について、組織エコロジー理論を分析視座として、1991 年から 2020 年までのジャニーズ事務所所属アイドルグループのデータを用いて検討しました。
グループの加齢がもたらす組織慣性やメンバーの脱退に伴う正当性の低下がグループの活動低下に繋がる反面、テレビ等への露出による正当性の獲得がグループの活動の活発化をもたらすことが明らかになりました。
(データサイエンス部門)太陽光発電によるエネルギー需給の空間的不均一性ーGISを用いた検証
次は、池川ゼミ所属の経済学部グローバル人材育成専攻4年 喜多瑛彦さんです。昨今自然エネルギーの中でも特に注目されている太陽光発電の都市部日照時間と日照量という太陽光発電による電力の供給面に影響を与える要素と、人口という電力の需要要素の両側面の地理的な不均一分散性について注目し、電力の地理的な需給バランスについて考え、その不均一性から、電力輸送の必要性を明らかとしました。
(ITサービス部門)AEDを見つけるアプリの開発ー1秒でも早く人命救助をおこなうために
次は、1年生ながら、新井先生の指導を受けた経済学部AIビジネス専攻1年 西田明夏音さんです。近年 AED は一般市民の使用が認可され設置台数が拡大した一方で、AED を探すための手掛かりが少なく、緊急時に AED を探すことは難しい点に着目したものです。緊急時に救命で AED をより役立てること、普段から AED の設置場所情報をより簡単に確認できるようにすることを目的とし、AED の位置がわかるアプリの作成をしました。
(AI部門)食配サービス企業の顧客データ分析
次は、AI部門から、上村ゼミ所属の経済学部AI・ビジネス専攻3年 服部立さんです。食配サービス企業A社の顧客データに対して、回帰分析と機械学習的手法(ランダムフォレスト、xgboost)を用いて予測モデルの構築を試みています。
MAEを用いて予測精度の検証を行ったところ、xgboostが最も高い精度で予測することができました。本研究では、産学連携の一環として、企業の実データを用いて分析したもので、企業の方にプレゼンも行っています。
[参考]https://www.reitaku-u.ac.jp/news/research/1776554/
(AI部門)商品レビューの文章量の多寡を決める要因
最後は、AI部門2つ目の発表で、吉田ゼミ所属の経済学部会計ファイナンス専攻4年 今井勇希さんです。機械学習(lightgbm)を利用したユーザーのレビューへの積極性の分析と感情分析による投稿者の特徴の分析より、レビューを書くユーザーの特定を行いました。
低評価をつけたユーザーはあまり積極的にはレビューを書いていないこと、そして、ネガティブなレビューをする消費者はレビューの文章量が150字前後におさまることを明らかにしました。なお、今井さんは国立情報学研究所主催のIDRユーザーフォーラム2022においてもポスターセッションで発表をしております。
[参考]https://www.nii.ac.jp/dsc/idr/userforum/program_2022.html
やりたいことを実践する
学生達はゼミの時間に教員指導のもと、自分達で悩みながら研究テーマを設定し、試行錯誤しながら文献研究、調査、そしてシステム開発などに取り組んできました。また昨年末から予稿論文の準備をすすめ、担当教員からは何度も指導を受けながら論文を完成させ、さらに発表スライドの作成や口頭発表練習など、発表ぎりぎりまで準備を重ねてきました。発表者は皆、大勢の聴衆の前で緊張しながらも自分の研究成果を立派に披露し、やり遂げたという充実感であふれていました。
ここでは紹介しきれなかった興味深い研究発表が多数あります。プログラムや原稿は以下のサイトにまとめられていますので、是非ご覧ください。https://sites.google.com/reitaku.jp/infopresen/