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教育・研究
2023.07.18

【開催報告】長崎県平戸市 黒田成彦市長による特別講義

 2023年7月4日(火)、経済学部の小高新吾教授が担当する「公共政策学」の授業において、長崎県平戸市長の黒田成彦様を講師としてお招きして特別講義を実施いたしました。黒田市長は、本学外国語学部の卒業生でもいらっしゃいます。

 「公共政策学」の授業では、公共政策に関する基本的な知識を学び、公共的な問題の政策決定における課題や思考のフレームワークを理解し、分かりやすく説明する能力を養うことを目的にしています。また、内外の政治・経済の動きを追いながら、変化する世界を理解するとともに、現実の問題を分析し、討議する能力も身につけることを目指しています。

 こうした観点から今回の特別講義では、「少子化・過疎化に向かう平戸市の挑戦」というテーマで、黒田市長から地域の振興や持続可能な発展に向けた施策についてお話しいただきました。お話の中で、豊かな自然や歴史に恵まれた平戸市においても、人口減少が大きな課題としてのしかかっていること、その中で課題解決に向けて多くの意欲的な取り組みが行われていることをご紹介くださいました。

 例えば平戸市では、「少量多品種・季節限定」といった地元特産品の弱点があるのですが、これを逆手にとって、ふるさと納税制度にポイントシステムや定期便の仕組みを導入することで、多様な農林水産品を季節に応じて返礼品として出荷することに成功、結果的に寄付額で日本一位になったそうです。こうしたふるさと納税の寄付金を農業や子育て支援などに活用することで、地域の持続的な発展を支えることに役立っているとのお話でした。

 また、新規転入者が平戸市内の業者で住宅を建てる場合に補助金を提供する仕組みを整えるなど、移住定住支援策によってUIターンを促進する取り組みについてもお話がありました。

 さらに観光面では、城下町の風情を取り戻すための統一した景観形成を進めるとともに、「Kidsジョブチャレンジin平戸」と題し、子どもたちが本物のプロフェッショナルのもとで職業体験を行う思い出作りの機会を提供したり、日本初の「城泊」を開始するなど、地域の魅力を高める観光施策への積極的な取り組みについても紹介いただきました。

 最後に、講義では家族の重要性にも言及されました。幸せは、他人との比較から生まれるものではなく、他者への思いやり、共に支えあうかけがえのない家族への思いから生まれるものであり、人口問題についても、「家族」の役割を踏まえて、女性が幸せを感じられる社会を作ることが地域の幸福度を高めるうえで非常に大切だとのお話でした。

 講義終了後には、質疑応答の時間が設けられ、受講生は黒田市長から直接まちづくりに関する質問を伺う貴重な機会を頂きました。

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