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教育・研究
2023.07.28|最終更新日:2023.07.31|

自主企画ゼミ「ナガサキで考える戦争と原子力」 長崎でフィールドワークを実施

 外国語学部の1年次科目「グローバルスタディーズ入門 B」(担当:花田太平准教授)で学んだ近現代史に関心をもった13名の学生が、花田准教授、障がい学生支援課の半田タユ美氏とともに、6月17日~18日に長崎の長崎原爆資料館・平和公園などを訪れ、フィールド調査を実施しました。

 本ゼミナールでは、文献調査とフィールドワークを通して、若い世代が戦争を伝えていくことの大切さやその意味を理解すること、戦争を深く知ることを目的としています。さらには、日本からの視点だけではなく、他の当事国からの視点も理解し、対話的な歴史学修のあり方を探求しています。

 以下は学生によるフィールドワークのレポートです。

 1日目は、被爆体験者 三瀬清一朗さんによる被爆体験講話を聞きました。まず圧巻されたのが、語る言葉の強さです。鳴り止まないサイレンの音、人のうめき声、夏の暑さに紛れた焦げ臭さ。三瀬さんが何度もくり返し同じ表現を使っていたのは、当時の状況がそれほど鮮明に体に染みついている証拠ではないかと感じました。また、衝撃的だったことは名前も住所も分からない人たちをあえて「片付ける」という言葉で述べていたことです。この表現を聞いたとき、人間を、命をモノのように扱わざるを得ない当時の状況を感じました。被曝体験講和は、本や資料でもない、生の声で戦争について知ることができたとても貴重な機会でした。

 その後、長崎原爆資料館を見学しました。そこには、これは事実だったのかと疑うほどの痛々しい戦争の実物資料(*遺品、当事者が自身の体験を描いた絵、当時の写真・証言記録等)が展示され、今もなお多くの人に戦争の恐ろしさ、平和の尊さを訴えかけているようでした。

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 2日目は長崎大学の核兵器廃絶研究センター(RECNA)にて、平和活動を行うナガサキユースやISSOKUの学生9名の方々と対話ワークショップを実施しました。同世代の方々とのダイアローグを通じて長崎の原爆を中心にさまざまな角度から話をすることができました。緊張の中、まずはペアで対話ワークを行いました。私たちが事前学習で調べて立てた問いをめぐる対話、長崎に住んでいる若者としての率直な想い、私たちが長崎を訪れてから感じたことなどを自由に共有しました。

 その後さらに輪を広げ、2グループに分けて哲学対話を行いました。ここでも話は多方向に広がり、参加者一人ひとりの中で感じて考えることが言語化された非常に充実した対話になったと感じました。

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  •  前日に三瀬さんから被爆体験講話を聞いたり原爆資料館を訪れたことで、想いや気持ちがたくさん生まれました。この対話ワーク全体を通し、その想いを言葉にすること、新しい意見を聞くことによって考えを整理すること、そうして今までの問いをより熟考することができました。何より、それぞれ生まれた土地や学校、専門の違う方々と対話をすることで、これまでゼミメンバーで考えて対話していたものとは異なる個々の新鮮な意見が飛び交い、良い刺激を受ける本当に素晴らしい体験になったと感じました。

     今回のフィールドワークでは新たな視点の発見とともに、今リアルタイムで継続しているロシア・ウクライナ戦争とどう関わっていくかを考える貴重な機会となりました。また、大学内にとどまらず、学生が主体となる学びの根本を知ることができる素晴らしい体験でした。フィールドワークを行う上でたくさんの方の協力をいただきました。この恩恵に恥じないよう、調査報告書作成に、自主企画ゼミ学生一同取り組んで行きたいと思います。

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 なお、9月30日、10月1日は、東京大空襲についてのフィールドワークを行う予定です。

            英語リベラルアーツ専攻2年
川津せり・羽生千夏

※自主企画ゼミナールとは、学生が学びたいテーマを見つけ、 学生が自ら指導を受ける教員を選び、 何をどのように学習していくかについて、 該当教員の助言を受けながら決定し、 学習計画を立て、 その計画に従って進めていくゼミナール制度です。